週末にかけて全国的に気温が高く、冬なのに「あまり寒くない」日が多くなりそう。高温傾向は来週にかけても続く見込み。この先の暖かさについてまとめました。
来週にかけても高温
12月はじめは一時的に強い寒気が流れ込み、冬らしい厳しい寒さとなりましたが、きょう10日は一気に季節を巻き戻したかのように、各地で寒さが和らぎました。週末にかけても全国的に気温が平年より高く、冬らしさを実感できる日は少ないでしょう。関東以西では20度近くまで上がる所もあるなど、12月とは思えない暖かさとなる所もありそうです。
高温傾向は今週だけにとどまらず、来週も続きます。きのう9日に気象庁から「高温に関する早期天候情報」が発表されました。北海道や東北は16日頃から、関東から九州、沖縄は15日頃からの約1週間もかなりの高温になる可能性があります。
この冬は暖冬傾向
最新の3か月予報によると、この冬は全国的に寒気の影響が弱く、冬型の気圧配置が長続きしません。12月の平均気温は北日本で平年並みか高く、東~西日本と沖縄・奄美は高い予想です。冷たい季節風が吹きつける日は少なく、ダウンコートでは汗ばんでしまう所もあるでしょう。1月も冬将軍は日本に長く居座ることはなく、気温は全国的に平年並みか高いでしょう。ただ、2月になるとほぼ平年並みの予想で、冬らしい厳しい寒さの日が多くなりそうです。
なぜそんなに気温が高い?
「冬らしくない冬」となる要因のひとつが、日本から遠く離れた南の海の海面水温にあります。海面水温というと、日本では太平洋熱帯域のエルニーニョ、ラニーニャ現象が広く知られていますが、インド洋の海面水温の変化「ダイポールモード現象」も日本の天候に影響を及ぼすことがわかっています。このインド洋の海面水温が西部で高く、東部で低い状態が続いていることで、上空の大気の流れが大きく変わっており、オーストラリアの干ばつやアフリカの多雨をもたらしています。日本付近では、南にある高気圧が例年より強く、上空の偏西風は北に蛇行して、寒気が南下しにくい状態が続くでしょう。
いつまで続く?
オーストラリア気象局によると、インド洋西部の海面水温はこの先は基準値に近づき、ダイポールモード現象は次第に弱まる見込みです。このため日本では冬を通して高温傾向が続くとは限らず、気象庁の3か月予報のように、2月には平年並みの気温に落ち着く可能性が高くなっています。
日本気象協会 本社 中川 裕美子
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